トップページ ≫ 社会 ≫ がん患者は待てない~AIとスパコンによる最先端のがん治療について
社会
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先日ある企業グループの講演会に参加する機会があった。講演講師は東京大学医科学研究所ヒトノゲム解析センター長の宮野悟教授。テーマはAIとスパコンによる最先端のがん治療についてであった。
宮野悟氏略歴
1977年:九大理学部数学科卒。理学博士
1987年:九大理学部助教授、1993年九大理学部教授を経て1996年より東大医科学研究所教授。ヒトノゲム解析センター長。
文部省新学術領域研究「システムがん新次元」領域代表。文部科学省「ポスト「京」重点課題②個別化・予防医療を支援する統合計算生命科学」代表。
2013年:国際計算生物学会より日本人として初めてフェローの称号を拝受。
2016年:東京大学医科学研究所にて、AIワトソンが10分で特殊白血病患者を診断、 治療法提案により患者の命が救われた事をNHKニュースが取り上げ、大反
響となる。
2016年:上原賞(先端ゲノミクスによる癌の分子基盤の解明)。遺伝子ネットワーク探 索研究の先駆者として広く知られる。
バイオインフォマティクス(生命科学と 情報科学を融合した生命情報科学)の分野では世界をリードする立場にいる。
以下当日の講演内容について概要を記載させて頂く。
がんは人生において直面する可能性が非常に高い病気。現状日本では、がんと診断された時に今後の治療や対処についての提示を医師から2ヶ月待ってくれと言われる事もあり、患者は不安になる。3ヶ月となるともはや待てない時間である。
しかし、AI(人工知能)とスーパーコンピューターにかかると約20分でレスポンスが可能。人工知能(AI)に約2,700万以上の医学論文と1,500万以上の薬を登録し学習させる。IBMワトソン(スーパーコンピューター)に入力された膨大なデータをもとに分析するからだ。
事例を一例挙げる。医師から急性白血病と診断され抗がん剤を投与。これにより容体が悪化。再度、ワトソンによる分析。
結果二次性白血病と診断され抗がん剤の見直しを行う。この見直しに費やした時間はわずか約20分。
病状は複数の内容が重なり、人間だけの判断では難しいケースだったが、AIが難病患者を助けた形となった。
人智を超えた機能として今後とも期待されている。(2016年8月6日、NHK NEWSとして放送された。)
AIやスーパーコンピューターに知識を与え、更に人智を加える事により診断の精度を高めていく。
しかし、最終局面に於いては医師達(すなわち人間)の調整が絶対に必要だ。
がん研究に必須のインフラ(土台)を可能にするのはスーパーコンピューターである。迅速に異変を探し出し解析する。
ワトソン(スーパーコンピューター)よる治療法は全ゲノム調査である為、患者の安心度合いは非常に高い。
患者にとって極めてクオリティの高い方法なので、今後も最先端のがん治療研究を続けていく。
(以上概要まとめ)
がん治療は時間との闘いともいえよう。医師の最終判断を質・量の両面からサポートするこの最先端の治療方法には多方面から極めて大きな期待が寄せられている事を実感する良い機会となった。
小松隆
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