社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
毎年県庁の桜の花が咲きはじめると、県庁の人事が大きく動いていく。万物の流転をここでも思い知らされる。
そして塩川副知事が今日、県庁を去る。歴代の副知事でこの人に勝る人はほとんどいないといってよいほどの名副知事だった。決して出しゃばらないすぐれたナンバー2に徹した。上田知事が14年前登場して以来、特別秘書、知事室長、企財部長、副知事として、終始上田知事をしっかりと支えてきた。頭脳明晰はいうまでもないが、この人の判断能力、決断の速さは目を見張るものがあった。しかも情の深さと量ははかりしれないものがあった。この人を慕う部下の多さは他の追従をみじんもゆるさない。日本人らしい男力とリーダーとしての教養がこの人の身体にはあふれていた。まさに知将にして武将だった。役人らしからぬ役人のトップだが、後につづく者は自らの個性を生かしつつも、塩川氏を見習い、範として埼玉創りに汗するべきだ。また、上田知事の塩川氏に対する信頼と尊敬心をペンにしたら枚挙にいとまがない。県議会自民党のいじめに近い圧力にもめげず、今日まで上田県政が健全であり続けていられるのは、このスーパー脇役の存在があるからなのだ。さしずめ、平成の黒田如水といっても過言ではないこの人の退場は惜しみてあまりないが、今後も異なった立場から、後輩を育て、さらには多くの人達の指針となってもらいたいと思うのは筆者だけではあるまい。春風に送られながら塩川さんの前途がまた拓かれていくことを祈ってやまない。
編集長 伊集院隼人