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文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
新着記事
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- ブランコ(2019年07月20日)
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わたしの足はしっかりと あの碧空にむかっているのに ブランコを力一杯漕いでも 決して空には届かなかったの 幼い時の透き通ったような悲しみを 思い出しては語っていたあなた アクアマリンのような 瞳を遠い空に投げだしながら。 突然あなたが逝ってしまって わたしは今 あなたが漕いでいた すっかりペンキの剥げたブランコを 思い出しては呟いて…
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- 言葉だけ(2019年07月05日)
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喉が渇いている時は水がほしい 飢えている時は食べ物がほしい 寒さに凍えた時は暖炉がほしい 体のどこかに耐え難い痛みがある時は とりあえずその痛みが消えてほしい そんな時言葉は役に立たない 言葉が役に立つ時がある 飢えてもいず、凍えていなくても 生きているのが辛い時がある そんな時一つの言葉が大金よりも名誉よりも 大きな贈りものであるこ…
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- 梅雨の晴れ間(2019年06月22日)
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嫌なことが一つも無い日はない 梅雨時は日々雨か曇りです 楽しいことが無ければ探します 探しても見つからなければ作ります 人は何の為に生きるのか 人を苦しめるためではない 自分が悲しむためでもない 幸せになるために生まれたのです 時々嬉しい音信があります 心が感じられる贈りものがあります 思い掛けない人の心遣いがあります 私の友人に著名人…
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- 夢の証拠(2019年06月07日)
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目が覚めたら朝だった 昨夜は久しぶりに熟睡した 熟睡した時間は短い 寝てから一時間も経過していない気がする その間の時間がそっくり抜け落ちている その間私はどこへ行っていたのだろう どこかの夢の世界で私は魚だった 樹木の上で暮らしていたこともある 人間になってからは王子だったこともある 乞食だったこともある そして目が覚める前は兎だった …
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- タンポポの行方(2019年05月24日)
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旅立ちの前に言っておくことがあります 何処へ飛んでいってもいいけれど 水の上はダメですよ 鉢の中はダメですよ そこは雑草の生えるところではないので 引き抜かれてしまいます 窓から知らない人のお家に入ってもいけません きれいにならされた地面は建物が建つ所です 芽が出たときは真っ黒な床下です 耕された土の上は一番ダメです 野菜の生える場所です…
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- タンポポ旅立ち(2019年05月08日)
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花の後で 種を丸くデザインするなんて 思いつかなかったでしょう 毎日空を見て考えていたのです 何時か貴方に逢える日の事を 私 これから風にのって 雲のところまで行きます …
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- 野の花(2019年04月23日)
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野の花に 一人の散歩の人が目を止め 賞賛してくれることがある しかし多くの人は野の花を知らない 知っているのは 蝶や昆虫だけ 咲いてから散るまで 誰一人気づきもしないのだ 花は何故幸せそうに咲いているのだろう 誰も野の花を育てたひとはいない 短い花の命を みな美しく咲いているのは 作った方が見ているのを知っているからです …
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- 名もなきもの(2019年04月09日)
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ただの町はずれの場所がある あなたは何のためにいるのか 何処へいくのか そんなことも答えられず 日々生きているだけ という人もいる そんな人が犬に連れられて散歩をしていた 男は満開の桜に気づいていたが 小川が流れていてそこへいく道が見当たらない 公園や庭に咲いている花は人が見るためだが 人の世界の向こう側に咲いている花もある 大勢の役…
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- 少女とブランコ(2019年03月24日)
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少女はブランコに乗ると天使になった 少女は大空を舞いたかった ブランコを大きくこぐと、そのまま少女は大空に消えた 天使になった少女はすべての悲しい思い出を新しい夢にかえた トパーズ色の空はまさに碧空となった 少女は幸せ一杯の天使になった そして自分と同じ苦しみをこえてきた多くの人達に少女は天使の祈りを捧げた 何十年もの間、公園の片隅に置かれてい…
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- 誰もが物語の主人公(2019年03月10日)
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人はみな物語の主人公だ 視聴率が多いか少ないか 登場人物が多いか少ないか 物語が長いか短いかはあっても 気がつけば誰もがこの世界に 昔も今も世界に一人しかいない生きものだ 私の不思議はそれなのに何も特技がない だから威張ることが出来ない それに気づいた人間は世界中みな仲間だと思う みな社会の一部分で生きている人達だ…