文芸広場
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ヒーッ!
昔の主婦はなんと大変だったことか。
夜中に家族4人分の洗濯物をギュッと絞る。洗濯機にいつもどおりお任せしていたのだが、いつもより時間が掛かっていて不審に思い確認したところ、脱水が出来ていなかったのだ。排水されていないようなので、排水ホースを取り外して夜中に外で水遣りホースでジェット水流を当てて内部の汚れを取ってみた。それでもうまく排水されなかったのだ。
わたしは握力が弱いのだと思う。洗濯物を手で絞るものの、うまく脱水が出来ない。洗濯機がない頃の主婦の皆さまは本当に偉大だ。
夜中に何枚もタオルを絞って、手をヒリヒリさせている自分のことが滑稽に思える。嫌なことがあった時、自分を面白がってみることも自分を元気づけるテクニックのひとつだ。
わたしは、基本的には落ち込みやすい性質なので、自分をフォローする術を学んできた。いつも心にあるのは、子どもの頃に読んだ『ポリアンナ物語』だ。テレビアニメにもなった物語なのでご存知の方も多いだろう。主人公の少女ポリアンナは、孤児になり叔母に引き取られるが、冷遇される。だが、亡き父に教えられた「よかった探し」によって、自分のこころもまわりの大人たちも癒していくという内容だ。どんな辛いことがあっても、よかったことを探して明るく生きるポリアンナに魅せられた。
だから、タオル絞り中にたくさんのよかった探しを脳内で繰り広げる。夜中のタオル絞りをする自分が愉快に感じられてよかった。明日は、洗濯機を買いに行く余裕のある日でよかった。洗濯機を買うお金があってよかった。電気屋さんが近くにあってよかった。旅行から帰って大量の洗濯物をこれから洗うというタイミングで壊れるよりは今でよかった。等々。
落ち込みやすいひとには、おすすめの「よかった探し」。あなたにおすすめ出来て、これまたよかった。
檀ままこ