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新着記事
- 松山善三さんと飯能市と…(2016年09月05日)
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松山善三さんが91歳の生涯を閉じた。映画監督、脚本家として名声をとどろかした「名もなく貧しく美しく」は、人間いかに生きるかの指針にもなった。多くの共感を得た。 松山さんは社会派と呼んでふさわしい脚本家でもあった。「人間の証明」はその証明にもなった。 数々の名作品を残したと同時に、これまた名女優高峰秀子との結婚は社会から称えられた。2人はおしどり夫婦として…
- 霞川無情(2016年08月25日)
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台風が荒れ狂った。ゲリラ豪雨が各所で暴れた。外に出られず、私はテレビに釘づけになっていた。画面に増水し氾濫した霞川が表われ、その画像はかなりの時間を費やしながら我々にある種の恐怖感を与え続けた。小さな川である。一級河川とは名ばかりだと、昔から流域の人達は言っていた。私は少年期を霞川と共に過ごした。小魚がたくさんいた。アヒルが退屈そうに昼寝をしていた。霞川は全…
- 沈黙のグッバイとダンディズム(2016年07月28日)
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「別れる時は何も言わないほうがいい。何億年も前の沈黙の海へ静かにころげおちていくように別れていったほうがいい。あなたと別れた時もそうだった。ただ百舌だけが鋭角的に鳴きさけんでいたっけ。そして僕自身の中に長年はりつき、ひそんでいた何かにせめて、じっとグッバイとつぶやけばそれでいい。一つの終章はそんな形がいいのだ。 僕の中にかさぶたのようにはりついていた偽善の…
- 巨泉と狭山茶(2016年07月21日)
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巨泉が黄泉の人となった。梅雨明けを待たず六輔も巨泉も逝ってしまった。いずれもガンだった。2人はそれこそお茶の間電波人間の天才だった。2人は努力を超えた天からの才を与えられた希有の人だった。2人とも早稲田を中退した。タモリもそうだ。だから早稲田は中退した方が大物になるという伝説を生んだ。そのことはどうでもいい。私は今、娘から贈られてきた狭山茶を20年ぶりに味わ…
- 上を向いて歩こう(2016年07月13日)
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♪ 上を向いて歩こう ♪ 涙がこぼれないように ♪ 明るいメロディなのだが、歌詞は悲しすぎていた。悲しみがおしだす涙。こらえようとすれば、どっとこぼれ散る涙。だから、上を向いた方がいいのだ。しかも、その悲しみをのりこえて、明るい明日をつくっていこう!人は哀愁にみちた希望に生きるしかないのだ。友の死のあと、みんなで涙をこらえながら歌った、送別の歌にもなっ…
- 父の懐中時計(2016年06月24日)
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父は帽子を愛でた。そしてきまってカバンを持った。牛革の光沢をおさえた茶色のそれ。 しかし、父が一番気に入っていたのは、ロンジンの懐中時計だったのかもしれない。ベスト(もっともチョッキといっていたが)の小さなポケットから渋い銀色の鎖をたらして、懐中時計はその名のごとく、父のふところの中で時を刻んでいた。 こう書いていくと、父は金持ちで、成金趣味の嫌味な…
- 父の帽子(2016年06月06日)
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父は帽子が好きだった。それは単なる父の趣味とは違っていた。そのことに気がついたのは、私が中学生になった頃だった。私はその頃、仮面というものにかなりの興味をもっていた。仮面舞踏会をはじめとして、人は何故仮面をかぶるのだろうという率直な疑問だった。 もしかしたら、仮面をつけることによって、人は内面にひそんでいる本当の自分に気づき、しばし、本当の自分を見つけた快…
- 菊池寛や倉田百三から学んだ「許す」ということ(2016年05月13日)
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オバマ大統領が被爆の地広島にくるという。何んとも意義深いことだ。その政治的背景や政治的意義は割愛するが、人間の最も大切にして美しい所作は「許す」ということと「和解」だと思っている。怒りやうらみの蓄積からは何も生まれない。時間の中で溶かし、またあらたなものを醸していくところに人間の人間たるゆえんがある。 学生の頃、倉田百三に共鳴した。「愛と認識との出発」…
- ゴルフとその人 PARTⅡ(2016年04月22日)
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「おもいきり!打たせてください!」「力みますよ!」 その人と私の短い掛け合いの後、その人は再びほえた。 「力んでも何でもいい!打ちたいんだ!おもいきり!飛ばしたいんだ!」 〝おかしな人だな。ゴルフなんだから、御自分で判断し、それなりに打てばいいのに〟 わたしは心の中で思った。 その日の最終ラウンド18番ホールは難所だった。右には広い池が長く伸び…
- ゴルフとその人(2016年04月21日)
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その人の眼光が急に変った。人を包みこむようなやさしい眼が、人を射るような鋭い眼になったのだ。ほんの瞬時だが。ゴルフの昼食の時だった。世間一般のよもやま話から、寿司屋の親方の兄貴が弓道でイタリアに渡り、途中剣道に魅せられ、剣の道に進み、今ではイタリアに帰化し、多くの弟子をもって暮らしているというA氏の話だった。「え!その人って埼玉の剣道で優勝した人ですか?」「…