日中国交正常化４５周年を記念して、全国各地で３月から４月にかけて、中国国家京劇院による京劇の公演が行なわれている。埼玉では３月１６日（木）に、大宮ソニックシティ大ホールにて上演された。
　演目は、アクション劇「西遊記・金銭豹（きんせんひょう）」、不朽の名作「太真外伝（たいしんがいでん）」、人情劇「鎖麟嚢（さりんのう）」とバラエティに富んだ三作品。会場の客席はほぼ満席で、どの作品も観客が劇に引き込まれ、舞台と客席が一体となっている空気感がひしひしと伝わってきた。
　京劇は中国の伝統芸能で、日本で言えば歌舞伎のような存在だ。きらびやかな衣装に派手なメイク、打楽器と弦楽器の音楽に独特なセリフと歌、ピッタリと息の合った立ち回りや優雅な舞で、物語を表現。舞台上には日本語字幕があり、物語の内容を理解して楽しむことができた。
　中国国家京劇院は中国を代表する歴史ある劇団で、トップクラスの俳優が名を連ねている。今回の公演では総勢６２名が出演し、質の高さと大掛かりな公演であることが伺えた。
　耳に残る打楽器のリズムと艶のある弦楽器の旋律に合わせた立ち回りや舞は目を離せず、独特な抑揚のあるセリフと歌は耳にいつまでも残り、知識がなく初めてでも楽しめる演目に、京劇の優美な世界を感じ、さらに中国に親近感を覚えた。

岡　アヤコ