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連載エッセイ

生物多様性条約 その1[ 2010 年 3 月 8 日 月曜日 ]

 今年2010年は国際生物多様性年です。生物多様性の喪失は、自然状態の約1000倍という、かつてないスピードで進行しています。今までワシントン条約やラムサール条約など特定の行為や生息地を対象とした条約はありましたが、①野生生物をも対象とし、地球上の生物の多様性を包括的に保全し、②生物資源を持続的に利用していくための国際的な枠組みとして、1992年に生物多様性条約がうまれました。その条約の中では、③遺伝資源からの利益の公正な配分も目的としています。人間が生きていくための根源を守るための条約と言っても過言ではないでしょう。

そして、私が最もこの条約で素晴しいと思うのは、「予防原則」を前文の中で謳っていることです。今までは「予防原則」というと一笑されがちでしたが、この条文にははっきりと「科学的な確実性が十分にないことを」理由に「措置を怠ってはならない」と書かれているのです。化学物質にしても、電磁波にしても、放射能にしても、科学的に危険だと言う証明がされない限り規制されてこなかったのが現状ですが、これからは私たちの、もちろん全生物たちにとっての安全が優先される世の中がやってきそうです。EUなどではすでに予防原則に則って様々な判断がなされています。

生物多様性というと外来種から国内種を守ることや、アンブレラ種の保全などが頭に浮かびます。実際、今年の名古屋に向けて「SATOYAMA」を合言葉に里山保全や里川保全などが全面的に強調されています。しかし、そんな単純(保全自体は単純ではありませんが)な話だけではないようです。③の利益の配分の問題や、特に「カルタヘナ議定書」の中での先進国と途上国…いや、輸入国と輸出国の対立、いや多国籍企業を有する国とそうでない国の対立とでもいいましょうか。京都議定書の時にもあった利害をめぐる国同士の対立と同様のことがここでも繰り広げられています。そして、その悪者役が日本なのです。

前回の締約国会議にて日本は、締約国ではないアメリカの代弁者としてごねたことで、合意に至らなかったという経緯があるます。

具体的な話しは後で述べますが、参加していたNGO(この会議にはNGOも参加でき意見も言えるのです)から「日本は最も敵意のあるホスト国だ:JAPAN-HOSTILE HOST」「次の開催地が名古屋でなければどこでもいい:ANYWHERE BUT NAGOYA」と言われ、反感をかっているのです。

さて、日本は議長国としてどのような態度を示していくのでしょうか。

 

                                                                                                   (岩田 京子)


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