「どんなに忙しくても、どんなに体調が悪くても、この仕事を苦に感じたことはない。料理という好きなことが仕事だから。」
与野駅前にある藤の坊という名の和食料理店。そこの料理長兼店長である縮武志氏。
中学卒業時に料理人になる気持ちを強く持ち始め、高校は迷わず調理免許を取得できる高校を目指す。高倍率をくぐり抜け見事合格。彼の夢への第一歩。「普通の勉強と調理師免許取得の両立はなかなか大変なものだったが仲間と協力した楽しい思い出」と過去を振り返る。卒業後、川越にある割烹料理店で9年。料理の基礎を1から教えてもらえた。「これもとても楽しい日々だった。」
そもそも料理人になりたいと思ったきっかけは、家庭料理にあるという。母親、祖母ともに料理の腕前はなかなかのものらしい。父親もまた、自分で釣ってきた魚を見事にさばいていたそうだ。家族みんなが食に興味があり、食卓は楽しいものだった。彼の料理人としての原点はここにあるようだ。そんな彼の「おふくろの味」はコロッケ。ひき肉とジャガイモのシンプルな具の中心にゆで卵が入っているコロッケ。母の味。
彼もまた休日にはかわいい愛娘と一緒に料理を作る。買い物から片付けまでを一緒に。和食だけではなく洋食や特に子供の好きなメニューも作る。休日の料理が親子のコミュニケーションの場。
縮氏は店長も兼任している。彼が店長になる前には店長だけを専任している人がいた。その人が退職する際に店長も任された。料理だけではなく経営の勉強もさせてもらえて有難い。あくまでも彼の姿勢は謙虚である。
自分の立場は責任も重いが、興味のわいた素材や材料を使った料理に挑戦できることは楽しいことだし、やりがいを感じるのだという。
店に来るお客様はここの味を、手作りの味を楽しみにしてくるお客様が多い。そんなお客様のニーズにお応えできる料理を心がけているという。
店長としての役割も忘れてはいない。大手の飲食店のようにマニュアル化された接客の良さも取り入れつつ、この店独自の人間味ある接客も目指していきたい。
実際カウンター越しに直に接客する機会も多い。そこではお客様ひとりひとりに合った接客を心掛けている。
料理人としても店長としても極めていこうという姿勢がうかがえる。
「今の店に不満はない。むしろまだまだ勉強するところはたくさんある。でも、いつか自分の店をもってみたい。」
日々の忙しさに追われることなく、夢も現実も着実に生きる姿に感銘を覚える。連日にぎわいを見せるこの店。彼の姿勢が料理を通じ、接客を通じてお客様へと伝わっている何よりの証拠だ。



