政権交代は成し遂げられた。しかし、スタートして100日が過ぎただけなのに早くも日本中にはまたいつもの停滞感が漂い出していると感じるのは筆者だけだろうか。それでも2009年はやはり政権交代、腐っても政権交代。というわけで2009年の10大ニュースを昨年に引き続き送りたい。
10位:深刻!既存メディア不況
広告費が急激な減少を続ける中、各新聞社の決算も危機的な状態に陥った。読売新聞社グループは連結で15年ぶりの赤字転落、朝日新聞社は株式会社化以来初の赤字転落、日本経済新聞は経常利益が前期比67%減、毎日新聞も15年ぶり赤字転落、産経はついに希望退職者募集・・・。偏向しまくりの大手紙はなくなってもなんとも思わないが、残念なのは雑誌の休刊・廃刊も相次いだ点だ。編集会議、就職ジャーナル、広告批評、エスクアイア日本版、諸君!、BRIO、スタジオ・ボイス、マリ・クレール、ガテン、フォーブスはじめたくさんの雑誌が存続できなくなった。
9位:事業仕分け
新政権鳴り物入りで始まった事業仕分け。「これで何かが大きく変わる」と期待した人も多かった。いざ始まってみると、小泉竹中構造改革にも関わった面々がぞろぞろ仕分け人に入っていることが発覚した。財務省人脈というわけなのだろう。図らずも新政権が財務省に籠絡されてしまっていることが露見したのが、この事業仕分けだったと見ることもできるだろう。これまで自公&官僚が国を食い物にしてきた一端にメスを入れるという意味では効果がなかったわけでもない。最初から財務省が切るつもりだった事業をカットしたわけだが、それよりも埋蔵金を明らかにして大型予算を組むべきだ。
8位:ダウンロード違法化
総選挙を先延ばしにした自公政権が残した負の遺産の一つが、「ダウンロード違法化」を含む改正著作権法案だ。いずれ権力サイドの都合のいい運用がなされる危険性を秘めている稀代の悪法と言うことができる。いま私たちは、例えば真相究明するYouTube映像などを気軽に入手し、自らのサイトやブログに貼り付けて情報を拡散させることができるわけだが、こうした行為も違法にされる可能性大だ。未来に禍根を残すことになるだろう。2010年1月から施行予定。
7位:何故か購入経路は解明されない芸能人覚せい剤事件
総選挙まっさかりの8月、酒井法子、押尾守が相次いで逮捕。衆愚メディアは沸き返ったが、肝心なことは何一つ報道されない。ノリピーと押尾事件が、一つの糸でつながり、その背後には下着通販会社の女社長や大物政治家の影も指摘されていた。さらに憤懣やるかたないのは、こうした事件では必ずといって良いほど密売ルートの解明に進まないことだ。
6位:足利事件、菅谷利和さん釈放
DNA官邸の結果、19年ぶりに無実が証明された菅谷さん。純粋に疑問に感じるのは、無実を訴える人の中には本当に無実な人も相当含まれているのでは?ということ。私たちは、こうした人たちの声に耳を傾ける必要があるように思う。取り調べの可視化がテーマになるのは当然のことだ。
5位:めちゃくちゃ面白い亀井大臣の「もう一つの記者会見」
政権交代したら記者会見は自由化すると言い続けていた鳩山首相だが、結局、従来の記者クラブ体制による記者会見におさまった。平野官房長官が記者クラブや官僚に取り込まれたとの見方が強い。しかし、岡田外務相は記者会見を自由化し、さらに亀井郵政改革・金融担当大臣は、正規の記者会見とは別にフリーランス、ネット・雑誌メディアの記者らによる記者会見も合わせて実施。この別枠の会見内容がめっぽう面白い。「大新聞は狂ってる」「自分たち(大手マスコミ)があなたたち(記者クラブ非加盟)よいもレベルが低いという自覚があるから一緒にやりたくない」などとズバリと斬りまくり。その様子は、金融庁のサイト(http://www.fsa.go.jp/common/conference/index.html)で読むことができる。
4位:突如として現れた新型インフルエンザ
新型インフルエンザについては、その危機の報道が誇大宣伝だという批判もある。季節性のインフルエンザとの比較はまずは1年様子を見ないと分からない。これまでのところ、季節性と比べて特に死者が多いというわけでもなく、大規模な臨床試験を行わないまま輸入ワクチンを承認してしまたのは拙速というしかない。リスクの大きいワクチンを接種するくらいなら、発病=天然のワクチンというくらいの心構えでいいと唱える学者も存在する。ちなみに、お医者さんは「ワクチンしても発病を避けることは出来ず、発病しても症状を軽めに抑えるもの」と言うが、やはり認知されていない。
http://qualitysaitama-blog.at.webry.info/200910/article_12.html
3位:円高デフレまだまだ序の口!?
11月末には1ドル84円台まで円高ドル安が進行した。輸出企業は大打撃だが、円高と言うよりもドル安はまだまだこんなものでは済まないだろうと思われる。副島隆彦氏は2010年後半からドル&米国債が暴落を始め最終的には1ドル10円台突入とまで予測している。一方、デフレは200円台弁当などをはじめとする食料品、1000円以下ジーンズなど消費の隅々にまで浸透した。それでも、消費者の支持を受けているのは、単なる安物ではなく、「良いものをより安く」。2010年は企業の淘汰がいっそう進むのだろう。
2位:郵政民営化見直しは大きな成果
政権交代によって亀井静香氏が郵政改革担当大臣に就任。アメリカの支持によって進められてきた4分社化の見直しを進めるとともに、郵政株売却法案が成立した。これで、ひとまずの危機は遠のいたが、既に米国に郵政マネーの多くが投資されてしまったとの見方もある。亀井大臣にぜひやっていただきたいのは、郵政民営化に関わる竹中と小泉の売国行為を暴いて白日の下に晒すことだ。
1位:政権交代
大きな期待を集めてスタートした新政権だが、モタモタしているという印象が強くなってきた。結局、官僚支配を突き崩せていない。いや、まだ始まって3カ月というべきなのだろうか。よくよく考えると、あの政権交代は歴史的な大事件だったと思う。いまの民主党連立政権が多くの問題を抱え、私たちの期待に応え切れていないことは事実だが、それでも対米従属路線からの離脱を図ろうとしている姿勢は間違っていない。それについては官僚とマスメディアが最大の抵抗勢力となっている。では対米従属路線から離れて、私たちをどういう方向に導こうとするのか。小沢一郎の真意がどこにあるのか読み切れない。一つだけ確実なのは、“失われた20年”のというトンネルにある今の日本、近年行われた数々の負の改革はすべて自民党政権の結果だということだ。もう私たちは後戻りはできない。それだけでも政権交代には意味があったと思う。
(磯 尚義)



