まちづくり

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世相を斬る

入札問題について考える(2)[ 2009 年 12 月 21 日 月曜日 ]

 

民間企業にあっては未だに回復の兆しが見えない経済不況を克服するために、四苦八苦の思いをしながら新製品の開発や、新技術の研究を図りながら業績の改善向上に取り組んでいる。まさに日進月歩の社会変化のなかにあって民間同士の取引は進化し続けている。前回踏襲型の取引がその企業の業績に直結し、結果の良し悪しは、決して大げさでなく企業の存続に関わる。納入するほうも採用する側も前向きの緊張感の中で社会が回転しているのである。民間同士の取引がより革新的な技術や新製品の流通が比較的スムーズにいくのは、より良いものの活用によって経費の節減や、他社との区別化、スピードの追及等によって、より合理的な経営が可能となり、互いの利益につながり企業にとっても働く社員にとっても好都合だからである。

しかしながら、たとえば前回踏襲型の県の発注行為は「○○工事請負一般競争入札公告」という具合にインターネット上に発表される。工事名から始まり、落札者の決定方法等々事細かに公表され十数個目にわたりプリントアウトすると10頁近い書類になる。公平な入札を実行するためにという名目で、鵜の目鷹の目で気まぐれな監視をする市民運動家からのクレームが付かないように細かな神経を配っていることが察せられるが、必要以上に保守的になった結果が新技術や新製品の採用を阻んでいるとしか言いようが無い。たとえば「入札に参加する者に必要な資格」という項目があって「必要用件」「施工実績」「配置予定の技術者」等が事細かに示されている。新技術・新製品が受け付けられない理由がここにある。

 第一に「本店もしくは主たる営業所が○○県土整備事務所管内にあって土木工事の格付けがA級またはB級であること」とある。

 この項目を条件にする限り画期的な新技術の開発に多額の費用をかけて成功しても、土木事務所管内に本店や営業所がなければこの一点で入札参加が認められない。埼玉県の産業振興を意識するならば、県内業者に公平に参加してもらえばいいだろうと思うのだが、従来からの慣習に従って限られた範囲の業者にのみ参加資格を与えている。即ち県内を細切れにしている結果、地域の業界の停滞を招いているといっても過言ではない。仮に圏外の業者が強引に入札しても事後審査で排除される。

 さらに、施工実績が求められ「公告日以前の10年間に、国または地方公共団体で同様の工事実績を有すること」とある。発注内容と同様の工事実績は無いが新技術の応用によって、充分に対応が可能であっても同様の工事実績がなければ、これまた最初から参加資格を認められない。

 県では知事を先頭に新技術・新製品の開発を奨励しているが、このような実情は、発注現場では新技術や新製品の排斥しているとしか言いようが無い。

 多額の資金と人材を投入し、なかには知事や担当部長の「実績にはこだわらず積極的に県も採用していきます」という言葉をまともに信じて、開発に社運をかけている企業も実際に存在する。また残念ながら県の採用を諦め、多額な参加費を負担し、期間中は社員を貼り付けなければならない展示会・発表会に、近年は欠席する企業があることを、知事をはじめとする県職幹部の皆さんはご存知なのだろうか。

新技術・新製品の開発は埼玉県のみならず、資源の無いわが国にとっても重要な課題であることは言うまでも無い。県の積極的な採用がある意味お墨付き的役割を演じて、広く普及する絶好のチャンスになることが期待されているにもかかわらず、現状の現場での前回踏襲型の条件付けが健全な産業振興の妨げになっていることは嘆かわしいことだ。

様々な分野の行政窓口の対応が批判されて久しい。概論でいうなれば、行政団体のほとんどの職員は自らの業務の実施に当たって極めて保守的に行動する。前回踏襲型の業務遂行に、新たな手法や、革新的な新技術の入り込む隙はまったくと言っていいほどない。職員にしてみれば一度入庁し、失敗さえしなければ無事定年まで生活は保障されるがゆえに、わずかな変更を試みるのも、まるで「清水の舞台から飛び降りる」がごとき感覚であるのだろう。現行の職員評価が減点主義から脱却できず、保守的になって硬直化した対応しかできない現状を打破するためには、職員の研鑽と社会の進化についていくことのできる体質、すなわち何事にもチャレンジ精神を発揮できる体制を作り上げることだ。なおかつチャレンジのリスクを窓口の部局や職員にのみに負担させることなく、行政全体で責任を取る覚悟がなければならない。職員の実績評価の尺度を変え、財政負担の軽減や品質の向上、施工期間の短縮などに貢献が現れた場合には次回につながるような評価をきちんとすることこそ活気ある職場を作り出す原動力となる。近年特に新技術や新製品の進化のスピードが速くなった。窓口の担当職員の業界に関する知識も日々進化させていかなければならない。


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