文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
この世に雨が降る時は
あの世も雨が降っている
この世からあの世に行く人はいるが
あの世からこの世に来る人はいません
誰でも 寒いところより暖かいところが好きです
誰でも意地悪い人達に囲まれて暮らすより
親切な人に囲まれて暮らすほうを選びます
あの世からこの世に戻ってくる人がいないのは
あの世が無いからではなく
この世が地獄だからです
膝を抱きながら
頬杖をつきながら
雨が降っているのを見ていると
心が静かになります
小野道風はまだ柳に飛びつく蛙をみています
最後のバスが通り過ぎても
黒い影となってまだ待っている女の人がいます
渋谷の駅で待つうち銅像になっても
まだ主人を待っている犬もいます
さまざまな雨の歌を思い出しています
何千という世界が露の中にあります
始め釈迦が気づき
その後の量子論がみつけました
草の葉末の露
子の葉から落ちる露
雨でもないのに人の目から落ちる露
露はみんな美しい
露にはあの世もこの世も映っています