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連載エッセイ

『売国者たちの末路』を読んで、選挙に備えるべし[ 2009 年 6 月 25 日 木曜日 ]

 副島隆彦氏と植草一秀氏による対論『売国者たちの末路』が発刊された。何しろ、このタイトルが凄い!これほどストレートでインパクトのあるコピーがあるだろうか。帯には「流れは、変わった! 衰退するアメリカ 小泉・竹中政治の闇と終幕 財務省利権 政権交代を阻止する勢力 地獄へひた走る世界経済」とある。

 

 副島氏は、4月末に発刊された『日米「振り込め詐欺」大恐慌』では、中川前財務相の酩酊記者会見をアメリカの意を受けた財務官僚や読売新聞記者らによる謀略とし、クスリを飲ませたのであろうと分析。彼らの写真と実名を暴露するなど、ボルテージを上げてきている。訴訟沙汰にはならないのだろうかと心配になるが、なっていないところを見ると、副島氏の指摘は確信を突いていたのだろう。
 

 対する植草氏は、一貫して小泉・竹中の構造改革路線に批判を加えてきた。次期金融担当大臣と目されながらも痴漢冤罪の謀略に陥れられ、「天に誓って無実潔白」だと激闘中。現在、1日4万件ものアクセスがあるという人気ブログ「知られざる真実」で、西松事件の国策捜査や日本郵政・西川続投問題はじめ様々な政治・経済事象に関して詳細に分析、その欺瞞と問題点を提起している。
 

 対論の趣旨は、「流れは、変わった」である。これまで日本を売り渡してきた売国者の行為と、そのシステムを明らかにし、政権交代に結びつけようというものだ。超一流の二人だけに、日本とアメリカ、世界を巡る金融・経済の分析は、もちろん本書でも十分に堪能することができるが、醍醐味は、権力やメディアがどうやって国益を売り渡し、反対するものを退けてきたのか、その辺のリアルな暴露だろう。もちろん陰謀論ではないし、実に生々しい事実の数々が固有名詞入り、タブーなしに語られている。
  

 例えば、当時の政治経済情勢と植草氏の言論を比較しつつ植草氏がいかに奸計に陥ったかについても検証されている。事件前から尾行がついていたこと、植草事件と竹中大臣辞任のタイミングが符合する背景、捜査情報の偽リーク等々・・・。さらに次の一節は事件の本質を暗示しているとともに、恐ろしさを禁じ得ない。引用しておく。
 

植草 私は自分の事件のあと、知人にこんな話を聞かされました。その知人は外資系の会社を日本で立ち上げて、日本で不良債権の買い取りと資金回収などをやっている人です。いわゆる外資一族とツーカーの関係にあるのですが、彼によると外資系ファンドの人々の集まりがあったとき、私のことが話題になった。そしてそこにいた人々が口々に言ったそうです。
「ウエクサはガリレオだ。ガリレオは火あぶりにしろ!」

(『売国者たちの末路』96〜97頁)
  

 ところで、タイトルにあるように「売国者」と言えば、最も悪質な人物が小泉&竹中であるのは言うまでもない。前者はパフォーマンス・オンリーのマスメディア対策用の傀儡とすれば、最悪の米国犬が、竹中平蔵だ。5章「売国者はこうしてつくられる」では、竹中氏の思想基盤や来歴を検証している。さしたる経済的な根本思想は持ち合わせていず、その時々のブレーンのアイデアを頂戴して言論を180度転換することや名誉と地位、お金に対する執着癖を暴いている。とりわけ、竹中氏の処女作『研究開発と設備投資の経済学ー経済活力を支えるメカニズム』は共同研究者である鈴木和志氏を欺いて単著で出版してしまったという逸話は、その後の彼の本質を言い表しているのではないか。5章では、竹中を巡るロックフェラー系人脈なども含めて彼と関わる日本管理あやつり対策班&売国者が実名で記述されている。
 

 このように売国者の行状を暴くことはもちろん、郵政民営化に関わる本質についても鋭い指摘がなされている。再び引用しておこう。
植草 ご存じのように日本郵政グループは「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険」「郵便事業株式会社」「郵便局株式会社」の4社からなります。そして全国に及ぶ長大な不動産を持っており、郵便事業会社と郵便局会社2社の保有分だけで2兆4000億円という簿価になる。すなわち三菱地所や三井不動産並みの不動産を保有しているのです。(中略)郵便事業に、重い人員の部分をくっつけて、国に返してしまえば、残るのは純然たる不動産会社です。不動産会社であれば人員は1万人ほどでよいわけですから、従業員1万人で簿価2兆4000億円の不動産を所有する会社になる。
 これは非常に美味しい話です。全国の駅前、一等地に商業不動産を建てて管理すれば、その事業収入だけでも莫大な額になる。アメリカがねらっているのは、実はこの部分ではないかと思います。

(『売国者たちの末路』102~103頁)

 
 「かんぽの宿」事件に関しても竹中氏と西川社長、その部下、オリックス宮内氏らの構図を詳細に分析しているし、西松事件を題材にいかに不当な検察権力が行使されたかについての分析もなされている。さらに、中川昭一氏に対する政治謀略についても、副島氏の前著同様に再び詳細な背景と陥れた人物らに対する告発が生々しくなされている。また、副題には「私たちは国家の暴力と闘う」とあるように、2001年以降、非常に悪質になった国家権力についても植草事件や小沢一郎攻撃などを題材に4章「国家の暴力」、6章「国策捜査、暗黒国家」で詳細に分析している。
 

 さらにテレビ5社、新聞5社についての分析も興味深い。「日本の愛国右翼系勢力のふりをしながら、実態はアメリカの子分になっている」フジ=産経、「歴史的には反米で、日本のリベラル勢力の結集体」だったのに近年は主筆の船橋洋一氏がアメリカの言いなりになってしまい変節した朝日新聞=テレビ朝日、CIAが世界反共産主義ネットワークの一環として育てた読売=日テレ等々の指摘は、鋭い。副島氏によると、唯一、比較的公正な報道を心がけているのは毎日新聞であるようだ。今後、皆さんも参考にしてください。
 

 本著は、2001年以降の対米関係も含め日本現代史を理解する絶好の教材でもあるが、もう少しロングタームで見ると、アメリカの対日金融支配戦略は1983~84年の「日米円ドル委員会」から始まったとする分析は、納得である。約25年も前から日本の富を収奪するために用意周到に準備が進められ、今まさに“刈り取り”真っ最中という段階になって、金融恐慌が起きた。
副島 時間の経過とともに真実ははがれ落ちてくるでしょう。頂点をきわめたと思った小泉・竹中が、今は一気に奈落の底です。「天網恢恢にして漏らさず」ですね。アメリカの金融崩れという“神風”が吹いて、恐ろしい勢いで彼らの敗北が始まった。私は、2007年8月のサブプライム危機が勃発する直前までは、「このままでは日本はすべてアメリカに食い尽くされる」と非常に悲観的になっていました。それが大きく変化した。本当に「驕れるものは久しからず」でした。この大きな世界的な流れの転変が、日本国民に利することを願いします。

(『売国者たちの末路』112~113頁)
 

 ここに本著の大きな願いが表現されているように思われる。売国者とその行状を暴き出すことは、つまり、われわれ国民の利益を守ることに直結する。副島氏、植草氏らの闘いは、そのためのものに違いない。かつて植草事件が報道された時、ほとんどの人たちは、植草氏のことを軽蔑したのではないか。いまインターネット論断では潔白を信じる人々が増えたとはいえ、マスメディアから吹き込まれた情報に支配されている人も多い。ぜひとも、植草氏の前著『知られざる真実』や本著『売国者たちの末路』を読んでいただきたい。国家の暴走を止めるには、政権交代しかないのである。植草氏だけの問題ではなく、私たち国民全てに関わる問題ではないだろうか。

 筆者は、日常的に副島氏や植草氏のサイト、著作を読んでいるので、本書には既に理解している内容も多く含まれているが、全ての知識人にとって総選挙前の必読書と言える。21世紀になって10年弱、日本に何が起こっているのか。闇の深さとともに、政権交代によって闇が明るみになる可能性を感じさせてくれる。流れは、既に変わった。そう信じたい。

(磯尚義)

ほぼ日刊クオリティ埼玉のニュース裏読みブログ

http://qualitysaitama-blog.at.webry.info/

 


コメント / トラックバック 9 件

  1. 津田 博吉 より:

    私も、二人の著書を、読んでおります。
    この国を正すには、政権交代しか、ありません。、著者をはじめ、貴殿のような方が、情報の発信を、ドンドンやってください。
    日本のシステムをチェンジしてください。

  2. トクメイ より:

    大変よい書評である。

  3. 憂い人 より:

    いつも拝見しております。

    このたび、植草氏が実刑になりました。
    そして、サイト上で大変危惧している方々が増えました。

    元々、小泉純一郎一派による「誤認逮捕」から始まり、
    植草氏は社会的に抹殺されました。
    しかし、多くの支援者が真実を追究し、ネット上では大変な話題になっております。
    売国奴達の終焉が近いと叫ばれている昨今ですが、
    断末魔なのでしょうか?今回の逮捕となりました。

    そこで、このサイトで是非取り上げて欲しいのですが、
    以前、三浦和義氏の拘留→自殺のように、
    拘留中に殺害される可能性があります。

    ネット支援者達も大変心配しており、何とかして食い止めたいのです。

    どうか、植草氏の記事を載せてください。
    彼はどんなことがあっても、自殺しないと発言しております。

    宜しくお願いします。

  4. iso より:

    津田博吉様
    私にできることは、本当に微力なものに過ぎませんが、少しでも貢献したいと考えています。この国に蔓延る売国者の無法を止めさせるには、政権交代しかありませんね。

    トクメイ様
    お褒めいただきありがとうございます。私は、この本から副島氏、植草氏の命がけの言論活動を感じ、少しでも多くの人に読んでいただきたいと願って、書評に取り上げました。

    憂い人様
    確かに売国奴たちは、何をやらかすか分かりません。追い詰められているからこそ、植草氏の安全に危険性があると思います。微力ながら、今後も取り上げていきたいと思います。

    皆様、コメントありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

  5. TT4 より:

    私は地方のB級人間で、昔は「純ちゃ~ん!」と黄色い声を上げたこともあります。
    ですが、ネットで様々なブログを読み、メディアで報道されない本当の真実・事実を知るようになり、植草一秀氏の著書を読み、植草氏応援サイトで貴社「電子新聞」の存在を知り、「この国の明日」を心から憂えるようになりました。

    私をこの素晴らしい電子新聞に導いてくれた植草氏のブログも応援サイトも、プロバイダーのココログもろとも一陣の煙と共に消え失せてしまいました。

    私が、いや私たちがこのいつの間にか歪んでしまった日本社会に起こっている事件の真実を知る事が出来るのはこの「電子新聞」しかありません。

    私はこれから毎日訪問します。アンケートがあったら何でも協力します。

    そのうち私のような「憂える子羊」たちがどっと押し寄せると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

  6. iso より:

    TT4様
    植草さんのブログ、復活したようですね。

    今後、時事関連エッセイは専用のブログ・サイトに移行させていただきます。

    下記までお越し下さい。
    ほぼ日刊クオリティ埼玉のニュース裏読みブログ
    http://qualitysaitama-blog.at.webry.info/

    よろしくお願いいたします。

  7. 南野菅野 より:

    毎日新聞が公平と評価していますが、民主党機関紙として有名だそうですが、詳しく教えて下さい。

  8. iso より:

    副島氏は、本書の中で「毎日新聞=TBS系は他の4つの比べると、まだ公正な報道に心がけているように見えます」と書いています。その一例として、中川昭一大臣が辞任追い込まれた事件でも、そのきっかけとなった記者会見に至る内情を最初に報道した件を挙げています。毎日新聞が中でも公正という件については、副島氏は度々ウェブサイト内で言及されているようです。毎日・東京=民主党寄り、産経・読売・朝日・日経=自民党寄りというのは、自分の立ち位置によって、見方が変わってくるのでしょうね。

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